アップルの新機能「プライベートリレー」が、通信事業者にとって“悩みの種”になっている

沿って : Ilikephone / On : 22/10/2022

アップルが世界中の10億台を超えるiPhoneを対象に「iOS 15」をリリースした2021年9月、仮想プライヴェートネットワーク(VPN)に似た新機能「iCloud プライベートリレー」の提供が同時に始まった。クラウドサーヴィス「iCloud」の有料プラン契約者のみ利用できるプライヴァシー保護ツールで、デヴァイスから送出されるトラフィックを複数のサーヴァーを経由させることで、ユーザーがオンラインで閲覧している内容を判読されにくいようにする仕組みだ。

ところが、このプライベートリレーについて最初に欧州の携帯電話事業者から、続いて米国のTモバイルUSから反発の声があがった。

プライベートリレーのサーヴィス展開はここ数カ月で本格化したが、多くのユーザーからは苦情が寄せられるようになった。利用している携帯電話事業者が、その機能の利用を制限している様子だというのである。

こうした事例の多くは、契約プランにコンテンツのフィルタリングが含まれていた。例えば、親が子どものインターネットアクセスを制限するペアレンタルコントロールなどで、こうした機能が含まれているとプライベートリレーを有効にできない。

アップルの新機能「プライベートリレー」が、通信事業者にとって“悩みの種”になっている

一方で、欧州では携帯電話事業者のボーダフォン、スペインのテレフォニカ、フランスのオレンジ、ドイツのTモバイルが、プライベートリレーの仕組みについて当局に苦情を申し立てている。英紙『Telegraph』が2021年8月に報じたところによると、携帯電話事業者はプライベートリレーのせいでメタデータやネットワーク情報へのアクセスが切断されると不満を述べており、この機能の提供を禁止すべきだと規制当局に進言しているという。

欧州の携帯電話事業者の幹部は欧州議会に書簡を送り、「プライベートリレーはデジタル市場の下流における他社のイノヴェイションや競争を損ない、携帯電話事業者が電気通信網を効率的に管理する上で悪影響を及ぼす可能性がある」と主張している。これに対してアップルは、プライベートリレーが利用者に高速インターネット通信を提供する携帯電話事業者の妨げになることはないと返した。セキュリティ専門家も、プライベートリレーが電気通信事業者に問題を引き起こすことを示す証拠はほとんどないと指摘している。

VPNに似た仕組み

アップルのプライベートリレーは、携帯電話事業者が利用を許可しているVPNと仕組みは違うものの、類似点がある。現在のところまだベータ版にすぎず、iCloudの有料契約者のみが利用できる。

プライベートリレーの目的は、ネットワーク事業者や閲覧するウェブサイトの運営元に、個人のIPアドレスやDNSレコードを知られないよう隠蔽することだ。そうすれば、企業側はユーザーの興味関心や位置情報などを含むプロファイルを作成しにくくなる。理論的には、オンライン上でターゲットにされる方法を減らそうというわけだ。

そのためにプライベートリレーは、ユーザーのiPhoneやiPad、Macから送出されるウェブトラフィックを、ふたつのリレーを介して送信する。このリレーは「ノード」とも呼ばれている。

トラフィックはまず、アップルのウェブブラウザー「Safari」から最初のリレーに送られる。このリレーは「ingress proxy」と呼ばれ、アップルの管理下にある。アップルの資料によると、世界には複数の異なるingress proxyが存在し、複数の拠点があるようだ。