指輪で決済する「EVERING」はキャッシュレスを加速させる? シンプルなユーザー体験にこだわる理由とは

沿って : Ilikephone / On : 27/11/2022

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EVERINGより

指輪で決済する「EVERING」はキャッシュレスを加速させる? シンプルなユーザー体験にこだわる理由とは

 コロナ禍で非接触型のキャッシュレス決済が急速に広まっている。 クレジットカード決済はもちろん、QRコード決済や交通系の電子マネー決済などは、お金を持たずして支払いを完了できるのが大きなメリットだろう。【写真】「EVERING」決済の様子 こうしたキャッシュレス経済が広がるなか、業界に新しい風を吹かせているのが、リング型ウェラブルデバイス「EVERING(エブリング)」だ。 ファッションアイテムとしての役割と決済機能を兼ね備えたスマートリングであり、まさに近未来の指輪と呼べるものかもしれない。 今回は同商品を販売する株式会社EVERINGの代表取締役CEOを務める川田健氏に、スマートリングを開発した背景や今後の事業展開について話を聞いた。(古田島大介)・指輪をかざすだけで決済できる新たなユーザー体験 もともとEVERINGの親会社であるMTGが、2018年より英国に拠点を置くMcLEAR社をグループ傘下に収め、現地でスマートリングを発売していた。 そして今年5月には満を持して日本展開を開始。 初回先行予約分における3000個はあっという間に完売した。 日本市場で好発進を切れた理由について川田氏は「シンプルかつ、今までにないユーザー体験を提供しているから」とし、次のように説明する。 「スマートリングを日本国内で事業展開することは、コロナ禍の前から構想していました。世界的にキャッシュレスの波が押し寄せるなか、こと日本においてはキャッシュレスが遅れている状況です。スマートリングを世に出すことで、『指輪をかざすだけで決済が完了する』という新たなユーザー体験を創出し、非接触型のキャッシュレス決済の普及に寄与するべく2021年5月から本格稼働したのです。1日で3000個が全て完売したのは想像以上の反響でしたが、スマートリングへの関心の高さを改めて知るきっかけにもなりました」・日常の無駄を省く「Less is Smart」の価値観 EVERINGの掲げるコンセプトに「Less is Smart」がある。 “触れなくていい。待たなくていい。取り出すことも、しまうこともない。装飾はいらない。充電もいらない。決済について言えば、なくすことこそがこれからのスマート” 暮らしのなかにある不便さや煩雑さを解消し、よりスマートで快適な生活を提供するために、EVERINGならではのエクスペリエンスをプロダクトに落とし込んでいるという。 「複雑な操作や無駄な要素は削ぎ落とし、シンプルなUI/UXを追求しているのがEVERINGの大きな特長です。キャッシュレスの文脈だと、どうしてもスマホと連携させた世界に閉じられていますが、指輪(リング)というハードウェアを提供しているのが特徴だと思います。古来から装飾品として存在してた指輪であれば、ファッションアイテムとしても、あるいはウェアラブルデバイスとしてもユーザーの捉え方次第で日常に取り入れていただける可能性があると思います。 また、プリペイド型の決済方法を採用しており、Visa、Mastercard、JCBや、アメリカンエキスプレスダイナースの国際ブランドのクレジットカードからも専用のスマホアプリを通じてチャージできます。要は複数枚登録しておくだけで、シーンに応じて使い分けられる。従来のキャッシュ決済サービスだと、提供企業が指定するクレジットカードに寄ってしまいますが、EVERINGは手元にあるクレジットカードで利用でき、広くあまねく使ってもらえる設計になっています」・不必要なアクションから解放されるライフスタイルを提案する そのほか、EVERINGには充電不要でウォータープルーフ (防水加工)、オートチャージの設定が出来るなど、多彩な機能を持っていて、ユーザーの多様なライフスタイルに応えられるように作られている。 徹底的にこだわったのは前述した「Less is Smart」の価値観だ。 「AIやIoTといった先進テクノロジーや企業が推進する産業のDXなどは、コンシューマーである我々が日常の中で感じることってあまりないのではと思っています。デジタル化が進み、生活がより便利になっている一方で、まだまだ無駄なこと、面倒なことも存在している。例えば、人によってはスマホを充電させたり、決済の時にスマホを懐から取り出したりすることを煩雑だと思っているかもしれない。こうした世の中に存在する『不必要なアクション』から解放されれば、もっとスマートにライフスタイルを送れるきっかけづくりができます。EVERINGの根底にある『Less is smart』の世界観を訴求し、新たな需要喚起をしていき、市場を生み出していくことが目下やっていくべきことだと考えています」・決済インフラの安全性を担保することが大切になる 他方、初回先行予約分の完売で手応えを掴んだものの、事業拡大については慎重に行っていくという。 「決済という非常にセキュアさが求められる事業なので、プロダクトを一気に拡販したときに毎日の生活に欠かせない決済という行為が安心・安全に守られるようにするのが最も大切なこと。リングとソフトウェア、バックエンドとのシステム連携も、堅牢なセキュリティの設計を施しています。ユーザー側も、仮にリングを紛失した場合は、専用のスマホアプリからワンタッチで利用できる仕様になっています。今後、秋口の一般販売に向けて増産を計画していますが、決済インフラの安全性が揺るがないよう意識して、一歩ずつ着実に事業を広めていく予定です」・販売目標を追うよりも、新たな需要喚起することに注力 現在、EVERINGは17種類のサイズ展開とブラックカラーを展開している。今秋予定の一般販売に向けた準備はもとより、年内にはホワイトカラーの投入も検討しているそうだ。 スマートウォッチやスマートグラスなどに代表されるウェアラブルデバイスだが、新たにスマートリングが世の中に浸透していく可能性は十分にあるだろう。 最後に川田氏へ今後の展望について聞いた。 「決済用のスマートリングという市場も認知も無い中でEVERINGは今年5月に日本でローンチしたばかりのプロダクトです。ゆえに、販売目標を求めるというよりも0→1という新しい市場を作り出すフェーズにおいては、地道にEVERINGが目指す『Less is smart』の価値観を啓蒙し、草の根活動で広めていくことが大事だと認識しています。アクセサリーとして取り入れつつ、決済手段としても重宝する指輪、またはスマートな生活を体現できるリング型ガジェットなど、打ち出し方や訴求軸は色々と考えられるでしょう。 なので、ユーザーのニーズを見ながらブランドの世界観を構築できればと思います。とはいえ、最終的には多くの人に使ってもらえるようにしていきたいので、キャッシュレス決済以外にも家やオフィスの施錠で使うスマートロック機能や電子チケット機能など、あらゆる日常生活に関連する機能を搭載し、スマートリングが提供できるUI/UXの体験価値を高めていきたいですね」

古田島大介

最終更新:リアルサウンド