映像配信にリアルタイムの価値を。「dTVチャンネル」が目指すスマホテレビ - AV Watch

沿って : Ilikephone / On : 11/07/2022

 まず、なぜドコモが「dTVチャンネル」を始めるのだろうか? 山脇氏は「スマホを意識したリニア型サービス」、「dTVの価値向上」という2つの理由を挙げる。

山脇:オンデマンド(VOD)型の映像配信の世界では、NetflixやHuluなど、競合がひしめいており、スマートフォンでもとてもよく見られています。一方、リニアでの映像配信となると、モバイル向けに強みを持つサービスは意外と少ない。これまでのリニア型のサービスは、家のテレビで多チャンネルを見る、というものが主流でした。調査をしてみると多チャンネルに興味があるユーザーは概ね2,000万世帯ぐらいで、そのうち約半分はスカパーさんやCATVなどを利用されている。しかし、固定網のサービスは月の単価が4~5,000円からで、さらに専用チューナなどの手間がかかるので、『興味があるけれど見てない』という人が相当数いる。であれば、ドコモのようなモバイルの会社が、スマホさえあれば映像がみられるサービスを展開すれば、そのニーズに応えられる。これが1点です。

dTVチャンネル

 もう一点がdTVとしての価値向上です。dTVとdTVチャンネルという2つのサービスですが、あたかも一つのように利用することで、コンテンツのラインナップが広がります。VODのサービスでは、機能や買い付けコンテンツでの差別化は難しくなっています。ですから各社はオリジナルコンテンツに投資しています。dTVも同じですが、VODのオリジナルに加え、リニア(チャンネル)という独自性を加えることで、より魅力的なdTVブランドのサービスが作れると考えました。

 dTVに新たな付加価値としてリニア型のサービスを追加するのであれば、dTVを機能拡張すればよかったのでは? という疑問も出てくる。少々わかりにくいのだが、実は既存のdTVと、新たなdTVチャンネルは、運営母体が異なっているという事情がある。それぞれ、NTTドコモのサービスとして展開しているが、dTVはエイベックス通信放送が運営、dTVチャンネルはひかりTVのNTTぷららが運営している。なぜ、こういったサービス形態になったのだろうか?

山脇:NTTぷららのひかりTVは、多チャンネルが主流のサービスで、多くのノウハウを蓄積しています。エイベックスは、dTVを6年間やっており、VODやオリジナルコンテンツ制作に長けている。それぞれの良さを生かしたサービスを作ろうということです。

 また、ぷららの「ひかりTV」をベースにしたドコモのサービスとして「ひかりTV for docomo」も提供予定です。

 多チャンネルが特徴となるdTVチャンネルは、31チャンネルを用意している。

ソニー・チャンネル、映画ザンマイ!、ディズニージュニア ライト、dアニマックス、BOOMERANG、ニコロデオン、プリプリ☆キッズステーション、プチフジ、TBSオンデマンドチャンネル、エンタメ~テレ☆バラエティ SELECT、MEN'S NECO、ファミ劇Neo、ひかりTVチャンネル+、Kawaiian for ひかりTV、iBEYA、MTV MIX、& MUSIC、KBS World、あじどらはん~韓流・華流・エンタメTV~、Kchan!韓流TV、囲碁プラス、将棋プラス、ダンスチャンネル by エンタメ~テレ、MONDO麻雀TV、タビテレ、釣りビジョンPlus、ナショナル ジオグラフィック、ヒストリー、Discovery TURBO、TBSニュースバードEverywhere、euronews

 チャンネル数は多いが、ラインナップとして“推し”のジャンルや番組がなかなか見えずらい印象もある。どういう狙いで、チャンネル編成を行なっているのだろうか?

山脇:ドコモショップには若い方からシニアな方まで幅広い世代が集まりますし、ご興味の範囲も相当広い。アニメ、エンタメ、趣味など、「幅広くそろえてほしい」とお願いし、(ひかりTVの)固定網でも人気の高いチャンネルを厳選していただきました。

 また多くのチャンネルが、dTVチャンネルのオリジナル編成となるのも特徴。CS放送などと同一内容(サイマル)のチャンネルは、「KBS」と「ユーロニュース」、「ナショナルジオグラフィック」の3チャンネルのみ。そのほかのチャンネルは、dTVチャンネル用のオリジナル編成となっており、「モバイル向けのサービスとして、『らしさ』を番組編成でも意識している」という。

 最近の映像配信サービスでは、「オリジナルコンテンツ」が差別化要素となっているが、この点はdTVのオリジナル作品に加え、独自チャンネルとして「ひかりTVチャンネル+」を編成。スキマスイッチのライブなど、dTVチャンネルのイチオシコンテンツを展開していく。

 dTVは、一時期は「キャリアフリー」を強く打ち出していたが、dTVチャンネルとdTVのセット割などの施策からも最近は“ドコモ色”を強く打ち出しているように見える。販売施策はどう考えているのだろうか?

山脇:ドコモユーザー、キャリアフリー問わずに使っていただきたい、という思想は変わりません。ただし、モバイルや光回線などトータルのドコモサービスとして使ってほしいという思いはあります。契約数では、ドコモ回線のユーザーが圧倒的に多い。ただ、ドコモショップの加入者はもちろんドコモの回線ですが、Webからの加入者はドコモユーザーと、キャリアフリーがほぼ半々です。

 dTVとdTVチャンネルのキャリアフリーで合計1,280円という価格も、市場から見れば「安い」と考えています。ただし、「お客様」から見たときに、加入しやすい価格ということで、1,000円を切ることを目指しました。だからドコモユーザーはあわせて980円。これを、ドコモの回線や光の契約にも活かしていきたい。